この記事は2022年3月5日に更新しました。
障がい者雇用で就職を目指す障がい者の方々は多くいます。
会社には『法定雇用率』という、会社の規模によって障がい者を雇用しないといけないという制度があります。
東京は企業が集中していますが、法定雇用率は17年連続全国最下位になりました。
筆者は障がい者の方々の就労支援に携わっているので、実際の現場の観点から障がい者雇用について考察したいと思います!
【障がい者雇用】東京は17年連続全国最下位
障がい者の方々を一定の割合で雇わなければいけない『法定雇用率』。
厚生労働省の説明はこちらになります。
従業員が一定数以上の規模の事業主は、従業員に占める身体障害者・知的障害者・精神障害者の割合を「法定雇用率」以上にする義務があります。(障害者雇用促進法43条第1項)
民間企業の法定雇用率は2.3%です。従業員を43.5人以上雇用している事業主は、障害者を1人以上雇用しなければなりません。
厚生労働省ホームページより引用
ある程度の規模がある会社にとっては障がい者の方を雇うのは義務なわけですね。
法定雇用率に関してはこちらもぜひご覧ください!
法定雇用率は全国平均で約47%程度ですが、上の画像のように東京では30.9%と15%以上下回っています!
理由として、簡単にまとめると中小企業では内部(設備や人員)で障がい者の方を十分にサポートできないことが挙げられてます。
大手企業であれば設備や人員、制度的にも障がい者の方々の状況に応じて柔軟にサポートしやすいのではないかと思います。
しかし中小企業にとっては法定雇用率を下回ることによる罰則があるのが、本当に辛いところだと思います…。
【障がい者雇用】法定雇用率を下回ってしまう3つの考察

筆者は障がい者の就労支援の現場で働いています。
そこで法定雇用率がなぜ下回ってしまうのかを実際の現場から見て考察してみました。
1. 社会全体で障がいへの知識が足りない
人は自分の知らないことに対して恐れを抱いてしまうものだと思います。
おそらく多くの日本人が障がい者と深く関わった機会は少ないのではないでしょうか?
もしそうなら、『障がい者』に対してどうやって関わっていけばいいのかなどわからないと思います。
わからないからこそ、障がい者の方を会社に受け入れることに積極的になるのは難しいでしょう。
2022年3月5日現在、北京パラリンピックが開催されました。
筆者だけかもしれませんが、パラリンピックが始まったことを知ったのは開会式が行われた3月4日当日でした。
オリンピックとパラリンピックは一つの例ですが、なかなか障がいについて社会人になってから知る機会は少ないですよね。
だからこそ、こういう記事を発信していく中で障がいについて知る人が少しでも増えてくれればいいのですが…。
2. 障がい者を雇うための会社の設備や人員が本当に足りてない
ふと街を歩いていると、スーツを着た人がタバコをのんびり吸っているところをよく見ます。
そんなことを考えると、会社は本当に障がい者をサポートする人員がいないのかなと思ってしまいました(笑)
しかし筆者の職場は完全に中小企業で人員は最低限しかいません。
一人一人に業務があり、その人に過剰に業務が集中していないかや精神的にキツくないか、人間関係は、今後の会社の方向性は…。
そんなことを考えていると、やっぱり誰かをサポートしつつ仕事をするのはやっぱり大変です。
障がいを負っていない人でも病気になって急遽休むことはあります。
ただ障がい者の方々が急遽体調不良で休むのが障がいを負ってない人よりも多い、これは事実です。
だからこそ大企業のようにある程度の人員があり、設備や制度も整えられる会社しか障がい者を雇えないのかもしれません。
法定雇用率を下回ってしまうから雇いたくても、でも雇うことによる負担が怖い…。
そう思う経営者の方もいるのではないかと思います。
3. 障がい者の方が仕事を得ようと焦ってしまう
これは本当によくあるパターンです。
障がい者の方々だけに限らず、日本では「お金」に対して極度に悩む方が多いです。
それは養ってくれる家族がいる人も、生活保護を受けている人も同様です。
就労支援の現場にいると、「工賃」よりも高い「給料」がほしいと積極的に就職したいという人がいます。
これはあくまで個人的な感覚ですが、そう考えて動く方々は心身の状態が不安定だけど焦って働こうとする印象があります。
その根底にあるのは、やはり「お金が欲しい」という思いです。
社会と繋がりたいから早く働きたい、というよりもお金が欲しいというのが本音なんだろうなと感じました。
これはしょうがないことですけどね…。
焦って就職しようとして、なんとか就職することができるも、心身に支障をきたして休みがちになる。
そして中小企業はサポートしきれなくなって退職し、企業の法定雇用率が下がってしまう。
悪循環ですね…。
焦る気持ちは本当によくわかるし、なんとか力になりたいと思うのですが…
でもだからこそ障がい者の方自身が自分の障がい理解を進めて、まずは安定して就労支援施設に通ってくれるのがいいと思います。
それを利用者に伝えきれていない筆者は、まだまだですね…。
まとめ
障がい者雇用に関して、東京都の平均法定雇用率低さからの就職に至らない理由を考察してみました。
今回はちょっと暗い話になってしまいましたね…。
障がい者の就労支援の現場にいる身からして、やっぱり利用してくださる人が前に進んでくれることを祈ってます。
そうなりやすくなって欲しいからこそ、少しでもこういう風に発信して障がい者の方々への社会的な理解が進んでもらえたらと願うばかりです…。
障がい者の方々と一括りに言っても、本当にすぐにこの人なら働けるんじゃと思えるほど真面目な人もいます。
そんな人たちを受け入れてくれる社会的な基盤の構築されることを祈りつつ、障がい者の方々のサポートをしていけたらと思います!
障がい者の方々だけでなく、筆者ももっと頑張らねばいけません!!
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