この記事は2022年3月22日に更新しました。
生活保護は日本という国が「国民が健康で文化的な最低限度の生活」を送るために整えた制度です。
日本で生活を送るうえでの最後のセーフティネットですね。
ただ、どうしても『生活保護』という言葉にはネガティブなイメージがつきまとっているかと思います。
この記事は現在生活保護を受給されている方や、生活保護を受けようかと悩んでいる方にぜひ読んでいただきたいです!
そして
- 生活保護を受けている人が多くいることを知る
- 本当に必要な場合にどんなことで役立つのかを知る
- 生活保護を受けている時に心がけるべきことの5つを知る
ネガティブなイメージのある生活保護という制度をしっかりと役立て、今後の生活に活かしていただけたらと思います!
生活保護受給率の最新データ

現在、日本における生活保護受給率の最新データは2022年3月2日に公表された2021年12月のデータです。
こちらのデータは、2021年12月分と前月(2021年11月分)、前年(2020年12月分)を比べているデータです。
データを抜粋すると、以下のようになります。
令和3年12月 | 前年同月 (2020年12月) | 前月 (2021年11月) | |
被保護者総数 | 2,040,211人 | 2,050,393人 (-10182人) | 2,039,439人 (+772人) |
被保護者保護率 (人口百人当たり) | 1.63% | 1.63% (-0.5%) | 1.63% |
被保護世帯総数 | 1,644,884世帯 | 1,638,124世帯 (+6760世帯) | 1,643,782世帯 (+1102世帯) |
数字ばかりで見にくいかもしれませんね…。
統計の結果としては、
- 令和3年12月は、前年同月と比べ10,182人被保護者が減少
- 令和3年12月は、前年同月と比べ6,670被保護世帯が増加
- 令和3年12月は、前月と比べ被保護者・世帯数ともに増加
このようなところかと思います。
前年同月と比べ、被保護者数自体は減少しているのに世帯数が増加しているというのは不思議な傾向ですね。
また同じ情報の中に以下のような情報もありました。
申請件数:17,751件
保護開始世帯数:17,648件
生活保護申請件数と保護開始世帯数を見比べると、ほぼすべての申請に対して生活保護を開始していることがわかります!
割合としては生活保護を申請したら、99.42%が生活保護を受けられるという数値です!
令和4年3月時点でもまだ感染症の影響が多くの人の生活に影響が出ています。
そんな特殊な環境下の中だからこその数値かもしれませんが、申請したらほぼ受理されるというのはありがたいことですね!
生活保護を受けると何がいいのか?

生活保護に関しては以前に情報をまとめたことがあります。
もちろん生活保護に関してはずっと一律の金額が給付されるわけではなく、改正されたり自治体によって給付額などが異なります。
生活保護に限らず福祉制度に関してもお住まいの自治体で全然違うので、役所で聞いてみたり調べるのが確実ですね!
厚生労働省では、生活保護の保護の種類と内容についてこのように解説しています。
種類 | 費用の内容 | 支給内容について |
生活扶助 | 日常生活に必要な費用 (水道光熱費など) | (1)食費等の個人費用 (2)光熱費などの共通費用 他にも条件による加算あり |
住宅扶助 | 住宅等の家賃 | 定められた範囲内で実費支給 |
教育扶助 | 義務教育を受けるための 教育費 | 定められた基準額を支給 |
医療扶助 | 医療サービスの費用 | 医療機関へ行政から支払い (本人負担なし) |
介護扶助 | 介護サービスの費用 | 介護事業者へ支払い (本人負担なし) |
出産扶助 | 出産費用 | 定められた範囲内で実費支給 |
生業扶助 | 就労に関わる技能の 獲得にかかる費用 | 定められた範囲内で実費支給 |
葬祭扶助 | 葬祭費用 | 定められた範囲内で実費支給 |
8つの支給種類があります。
生活する上で色々な都合に合わせて網羅されていますね!
ご自身がお住まいの自治体でどのくらいもらえるのかを自動で計算するサイトがあります。
このサイトで生活保護費を計算すると、単身で23区在住の人は「130,010円/月」となりました!
結構な金額ですね…。
もちろんただ良い面だけがあるわけではありませんが、本当に生活に困窮している場合には本当に心強い制度ですね。
もちろんマイナス面に関しても把握した方がいいので、ぜひ前述した別記事をご覧になっていただけたらと思います!
生活保護受給中に心がけること5つ

筆者は就労支援の現場にいる人間です。
そこで色々な職場の方と話す機会がありますが、そこでよく聞く言葉があります。
それが「生活保護から抜けるのは難しいよね」という言葉です。
色々な制限があるものの、やはり単身世帯で10万円前後、家族がみんな働けずに世帯で生活保護を受けている場合はさらに金額は上がります。
そのため切り詰めれば働かずになんとか生活できるお金が手に入ります。
もちろん働きたい気持ちがある方々とたくさん会ってきました。
しかし人間は慣れてしまう動物なので、働かなくてもお金が入る状況に慣れてしまうことは十分考えられます。
その点も踏まえ、生活保護を受けている際の5つのポイントを考えてみました。
1. まずは体調を万全にする
とにもかくにもまずはここからです。
最新のデータを紹介しましたが、このデータには次のようなデータもありました。
高齢者世帯を除く世帯:729,862世帯
- 障がい者・傷病者世帯計:407,350世帯
- その他世帯:251,000世帯
- 母子世帯:71,512世帯
つまり高齢世帯を除く世帯では、半数以上が障がい者や傷病者が生活保護を受給しているということですね。
生活保護という制度の背景から考えると、妥当な結果と言えますね!
そのため生活保護を受給している方々の最初に考えるべきことは、心身を万全な状態にするということですね!
そもそも本調子でもない状態で動くことは難しいし、非効率的です。
しかし「お金がない」という焦りから、この点を蔑ろにする人が本当に多いです。
焦って働こうとして体や心が追いつかずに、また体調を崩して働けなくなる…。
そんな悪循環に入る人が本当に多くいます。
生活保護というセーフティネットを利用できるなら、まずは体調を整えることを最優先に心がけてほしいです!
2. 今後どうしたいのかを真剣に考える
前述したように、一旦生活保護を受給するようになるとそこから抜け出すのはなかなかに難しいです…。
そのため将来について真剣に向き合うことが必要になります。
今の日本では普通に働いているとしても、将来に関して真剣に向き合うことを避ける人は多くいると感じています。
将来のことなんか誰にもわからないし、そんなことで悩んでもしょうがないと思う気持ちはわかりますけどね…。
しかし目的地がない状態で漫然と歩くよりも、目的地を定めて進む方が早く着く可能性が高いです。
明確にどうなりたいというのは想像することが難しいです。
しかしある程度の方向性を決めることはできるかと思います。
- 将来働きたいから毎日外出するようにする
- 将来一人で生活するために家事を自らやってみる
- 将来しっかりと働けるように早寝早起きを心がける
しっかりと将来に目を向けたら今は何をすべきか見えてくることがあります。
漠然とした不安はあるかもしれませんが、将来についてしっかり考えてみましょう。
3. 生活費をいかに抑えるかを調べてみる
生活費の話をする時に筆者がよくする質問は、「電気とガスはどこを使ってます?」です(笑)
生活費を抑えるとなると水をあまり使わなかったり、電気をこまめに消すというイメージがあるかもしれません。
でも電気やガスは契約先を変えるだけで毎月の金額を減らすことができるかもしれません!
いつもと変わらなく使っているのに、料金は減っているなんて最高じゃないですか?
普段気にしなかったことでも、調べて少し行動するだけでお得になることはわりといっぱいあります!
- 電気代
- ガス代
- スマホ代
これらは代表的な例ですね。
他にも引越しをする際に賃貸の契約料なども減らすことができる場合は多いです!
知っていればお得になるもの、逆に知らないと無駄に多く支払っているものが結構あるので、今後こちらでも紹介しますね!
4. 福祉資源を利用する
生活保護はそもそも最後のセーフティネットですが、日本では国民の生活を守るために本当に多くの福祉資源があります。
例えば筆者がいる就労継続支援B型施設フライトがある藤沢市にも障がい者の方々のために色々な公的制度があります!
- 医療証
- 自立支援
- 下水料金の割引
- 福祉手当
上記は藤沢市の一例ですが、福祉制度はお住まいの自治体で本当に様々です。
その中でも藤沢市は福祉に本当に力を入れてくれている自治体だとは思いますが(笑)
こういう公的制度は自治体のホームページなどに記載されていることが多いですが、なかなか知られていないと思います。
もしかするとお住まいの自治体で公的制度を調べてみると思いもしなかった支援を受けられるかもしれないので、ぜひ調べてみてください!
5. お金を稼ぐ手段を考えて行動する
先に挙げた4つのポイントを踏んだ上で、最後に心がけたいのはお金をどう稼ぐかを考えるということですね。
しっかりと心身の状況を整えないと、前述していた悪循環でさらに体調を崩してしまいます。
- 体調を整え
- 先を見据え
- 生活を見直し
- 福祉資源を活用
この上でしっかりとお金を稼ぐ手段を考えましょう!
お金を稼ぐ手段は大きく2つに大別されると考えます。
- フリーランスとしてお金を稼ぐ
- 企業に所属して給料を貰う
就労支援の現場にいると、割と聞くのが「自分でお金を稼ぎたい」という声です。
昨今ではクラウドワークスなど個人や企業から仕事を受けるサービスもあります。
もちろん簡単ではないことですが、経験してみるのもすごく良いと思います!
以前にクラウドソーシングで単価を上げるための方法も紹介したためぜひこちらもご覧ください!
また一般的にはお金を稼ぐとなると、やはり企業に所属して給料を稼ぐというのが普通に考えるかと思います。
そんな時に役立つ社会資源として、
- 就労継続支援
- 就労移行支援
- 障害者就業・生活支援センター
- 職業訓練
将来的に就労するため、公的に設けられた機関はいくつかあります。
今の自分の体調や環境、そしてこれからどうやってお金を稼ぐかを考えて何を活用するか検討していきたいですね!
終わりに
今回は生活保護の最新データを紹介し、生活保護を受けている際の心がけるポイントを検討してみました!
生活保護は国民を守るための制度でありながら、ネガティブなイメージが強い制度だと思います。
しかし体調を整えたり、将来に向けて考えたり、スキルを上げたりと、本当に心強い制度です!
心強い制度だからこそ、なかなかそこから抜け出すことが難しいというのは事実だと思います。
そして焦って抜け出そうとして体調を崩してしまう人も多く見てきました。
焦ってしまう気持ちもわかるし、どうしていいかわからないという不安も抱いてしまうかと思います。
そんな時にはお住まいの自治体の役所や、何なら筆者も相談に乗れるので、ぜひ相談してくださいね!
当サイト運営者がいる 就労継続支援B型施設『フライト』
コメント